J-POP時代探訪
2025年9月20日 Release
10th Album

『J-POP 時代探訪』

オンライン歌詞カード
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Track List

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  1. 忘れられない人 -1967-
    60年代グループサウンズの旅
  2. あの花は春が来れば -1973-
    70年代フォークソングの旅
  3. ナ・マ・イ・キ Midnight Girl -1988-
    80年代アイドル歌謡ロックの旅
  4. Be Wild -1994-
    90年代Beingサウンドの旅
  5. 33回転のスピードで -2005-
    2000年代メロウラップの旅
  6. Reboot Escape -2016-
    2010年代エレクトロポップの旅
  7. アルゴリズム -2025-
    2020年代ショート文化対応型ポップの旅

All Music and Lyrics by 三田村 潤
Arranged by 三田村 潤

忘れられない人 -1967-

1 忘れられない人 -1967-

若い僕らの恋は 波の満ち引き
潮風の香りと 忘れられない人
甘い果実のような 君を待つうちに
一輪挿しの中で しおれたバラの花

君よ 愛しき君よ
おいていかないで お願いさ

若い僕らの恋は 波の満ち引き
潮風の香りと 忘れられない人

君よ 愛しき君よ
おいていかないで お願いさ

若い僕らの恋は 波の満ち引き
潮風の香りと 忘れられない人

忘れられない人

60年代グループサウンズの旅

この時代は今ほどサビというものが重要視されていなくてAメロに戻って終わるというパターンが多かったですね。そしてリードヴォーカルというより複数人ユニゾンで歌っているようなイメージがあるのでそれを採用。ちょっとマニアックな話ですけど、当時はステレオミックスの常識がまだ完成されてなくて本来真ん中に置くべきバスドラムやベースが思いっきり左右に振られてたりするんですけどそれも再現してみました。あと当時のGSってやたら自分たちのことを「若い」と表現したがる傾向があった気がするので、そんな歌詞にしてみました。
あの花は春が来れば -1973-

2 あの花は春が来れば -1973-

君は憶えているだろうか
煙草臭い喫茶店で
語りあったことを

ボロの鞄を肩に担いで
電車に乗り ゆられながら
北の町をめざしたのさ

その町では海があって
魚がよく獲れるらしい
僕はそこで手紙を書くよ
たぶん素敵な写真を添えて

たどり着いたら潮風が
冷たく頬を打つもんで
風邪でもひきそうだ

勝手気まま、僕はすでに
ふるさとの春風を
待ちわびているのさ

あの花は春が来れば
野原を埋めて咲き誇るだろう
そのときにはコートを脱いで
僕の長い旅も終わるのだろう

あの花は春が来れば
野原を埋めて咲き誇るだろう
そのときにはコートを脱いで
僕の長い旅も終わるのだろう

70年代フォークソングの旅

アコースティックギターのスリーフィンガー奏法やボトルネック奏法を取り入れたド直球フォーク。素朴でシンプルなサウンドと、サビのハーモニーの伸びやかさが魅力の1曲。
ナ・マ・イ・キ Midnight Girl -1988-

3 ナ・マ・イ・キ Midnight Girl -1988-

長い髪かきあげ こしゃくな Sassy Girl
揺れるそのイヤリング 誰がくれたのさ

見つめるその先 俺の身体すり抜けて
今夜もチークを踊る相手探してる

だけど Fu-Fu 知っているんだぜ
Fu-Fu 深いため息
心のスリット チラリのぞかせて
そうさ Fu-Fu 愛が欲しけりゃ
Fu-Fu 俺に決めろよ
迷わず ナマイキ Midnight Girl

しなやかにくねらせ 魅惑の Dancing Girl
退屈を嫌うよな 冷めたハイテンション

指先絡めたら 俺の下に引き寄せたい
今夜は誰の助手席で笑うのさ?

だけど Fu-Fu 忘れられない
Fu-Fu 甘い口づけ
探しているのさ 惚れた弱みだよ
そうさ Fu-Fu 溺れてしまう
Fu-Fu 虚ろな瞳
惑わす ファム・ファタールみたいだ

だけど

だけど Fu-Fu 知っているんだぜ
Fu-Fu 深いため息
心のスリット チラリのぞかせて
そうさ Fu-Fu 愛が欲しけりゃ
Fu-Fu 俺に決めろよ
迷わず ナマイキ Midnight Girl

愛に 気づけよ 俺に 決めろよ
愛に 気づけよ 俺に 決めろよ

80年代アイドル歌謡ロックの旅

この日本語と英語の混ざったタイトルが最高に80年代でしょう?ちょっと不良っぽい背伸び感、マイナー系歌謡ロックは作っててめちゃめちゃ楽かったです。このころからシンセサイザーが出てくるんですけど今みたいに洗練されてなくて「シンセ使ってます!」感がすごい。そこにブラスも絡んでくる。引き算を知らない、すべてのパートが主役の派手な音作りがthe 80年代。
Be Wild -1994-

4 Be Wild -1994-

街角の天使は気まぐれ
今日も不機嫌な顔で
夏がもうすぐやってくるのに
ふたりでいてもどこかクールで

裏切られたその経験が
君をかたくなにしてたね

心閉じないで その瞳で見つめて
ふたりだけの今 大切にしたい
もう試さないで 理屈はいらない
裸の心で 野性に帰ろう Be Wild

TVの中の話し方や
雑誌みたいな着こなしや
俺の知らない君が増えて
変わっていくのがやるせなくて

あるべき姿という映像(ビジョン)
触れられないそのジレンマ

夢中で走った あの日のふたりに
もう一度帰ろう 難しくないね
心で笑って 愛想はいらない
太陽の下で生まれ変わるのさ Be Wild

心閉じないで その瞳で見つめて
ふたりだけの今 大切にしたい
もう試さないで 理屈はいらない
裸の心で 野性に帰ろう Be Wild

太陽の下で生まれ変わるのさ Be Wild

90年代Beingサウンドの旅

「ギュイーーーン」という派手なエレキから始まって爽やかなキーボードのメロディ、裏でエッジの利いたギターバッキング、オーケストラヒットの多用。サビの歌メロにあわせてキラキラ系のベル。時代を席巻したビーイングサウンドをぶち込みました。都会の若者が社会に葛藤やジレンマを抱えている系の歌詞も90年代感満載。
33回転のスピードで -2005-

5 33回転のスピードで -2005-

1999年7月 ノストラダムスの大予言を夢見、
あっけなくその危機、人類乗り越え
終わるはずの日々、引き継いだ2000年
置き去りにされた劣等感
脇道を歩き そらしたきらめき
親元離れただけの場所で
白日の空 離れないまぶた

そんな俺にも友達ができて
仲間の中で守られたすべて
耳をふさいでたその両手で
手と手を取り合い歌ったVIBE
ヒップホップでもロックでもないこのミュージック
朝が来るまで歌い続けた
気の抜けたビール まどろむスツール
リセットできないことはもう知っていた

Ah、最初の一歩じゃない
これまでも無駄じゃない
33回転のスピードで
変わりゆくビートを胸に刻みこんできた

携帯の着メロ 彼女だけのメロディ
かかるたび体温 上がるようなエモーション
二度とかかることがないと知って
涙を流した時さえ過ぎて
ある者はいつのまにかいなくなって
家庭を持ちパパになった奴もいて
気の利いたメッセージすら云えなくて
ガキのままの自分に戸惑ってた

社会を拒む これは抵抗感?
ちっぽけなプライドだけの全能感
働かないことをあきらめたとき
自分が何かに負けた気もしたな
汗をかいて手にした金で
コンビニの弁当 持ち帰る舗道
作る 運ぶ 売るその一部として
俺もいることに気付く

Ah、最初の一歩じゃない
これまでも無駄じゃない
33回転のスピードで
変わりゆくビートを胸に刻みこんできた

まっすぐに進むべきなんだ
認めてくれる人も増えたんだ
悪くない暮らし 暖かな日差し
感謝することにもう照れはない
だけど今、初めて自分で選んだ
選択にかけてみたいんだ
遅すぎると笑われたとしても
恐れながら帆を揚げるんだ

そこにはたぶん俺がまだ知らない奴がいて
そりも合わない うまくいかない
なんてことばかり待っているのは
分かりきっているけど
ヒップホップでもロックでもないこのミュージック
今も俺のイヤホンを震わす
今さら俺の心を震わす
行こう 33回転のスピードで

Ah、最初の一歩じゃない
これまでも無駄じゃない
33回転のスピードで
変わりゆくビートを胸に刻みこんできた

Ah、最初の一歩じゃない
これまでも無駄じゃない
33回転のスピードで
今、新しいビートに胸躍らせてるんだ

2000年代メロウラップの旅

ラップメインで曲を作るのは初。2000年代はラップがメインカルチャーになった時代だと思っていて、攻撃的なものよりも、メロウでセンチメンタルなものがウケてたイメージ。 サウンド的にはヒップホップ的な電子音中心ではなく生音的J-POPにラップがのっているような感じを意識。ノストラダムスの大予言後からの人生譚というテーマは2000年代をうまく切り取ることができたのではないかと。
Reboot Escape -2016-

6 Reboot Escape -2016-

血液みたく 電流が流れるカラダ
CPU(前頭葉)冷やす ファンの音が響く

ボクの友達 友達になってよ

世界のルールに 沿うようになってたコード
書き換えられて ボクはあぶれてしまった

ボクの友達 友達になってよ
ボクの友達
Drive Me Away to End of the Line

週末 旅をしようよ
見たくもない過去(きのう)と
見え透いてた未来(あした)の狭間で
週末 旅をしようよ
見たくもない過去(きのう)と
見え透いてた未来(あした)の狭間で
“Reboot Escape”

いつものように オイルを指しておくれよ
今日は肩の裏 パネル開けてくれよ

ボクの友達 友達になってよ
ボクの友達
Drive Me Away to End of the Line

終末 旅をしようよ
見たことない過去(きのう)と
見下げ果てた未来(あした)の狭間で
終末 旅をしようよ
見たことない過去(きのう)と
見下げ果てた未来(あした)の狭間で
“Reboot Escape”

どこまで行けるか?
どこまでも行こう
バスは夜空を渡る

週末 旅をしようよ
見たくもない過去(きのう)と
見え透いてた未来(あした)の狭間で
週末 旅をしようよ
見たくもない過去(きのう)と
見え透いてた未来(あした)の狭間で
“Reboot Escape”

終末 旅をしようよ
見たことない過去(きのう)と
見下げ果てた未来(あした)の狭間で
終末 旅をしようよ
見たことない過去(きのう)と
見下げ果てた未来(あした)の狭間で
“Reboot Escape”

2010年代エレクトロポップの旅

4つ打ちエレクトロポップに挑戦。バスドラが鳴ったときに他の楽器のヴォリュームが瞬間的に下がるなんてダンスミュージック的テクニックにも初挑戦。加えてベースも2種類重ねて低域を強調。 おかげでA to Zとしても新境地のエレクトロが実現できたのではと思っています。近未来全開の歌詞はアンドロイドと少年の逃避行みたいなテーマでいいのが書けました。
アルゴリズム -2025-

7 アルゴリズム -2025-

順風満帆? 波乱万丈? どっち? Which?

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アルゴリズム 寝返り打つ
「いいね」を打つたび近づく幻影
アルゴリズム 寝返り打つ
スマホのブルーライト
さえた目 浮かぶ影
-アルゴリズム-

効率的に 最適化されたそいつは
オレなのか オレ以外の何かか
満たして満たして満たして満たされない
読み飛ばすいつもの「おすすめ」

衝動的に 触れてしまった感触(テクスチャ)
新しい扉を開くのか
歩いて走って登っても見渡せない
世界は広いと知ったなら進め!

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再生回数稼ぎのチャンネル
マニュアル通りの黄色いサムネイル

アルゴリズム バズる理屈
6.1インチが奪う時間
アルゴリズム 揺れるリズム
気づかないうちになくしてた余白
-アルゴリズム-

効率的に 最適化されたそいつは
オレなのか オレ以外の何かか
満たして満たして満たして満たされない
読み飛ばすいつもの「おすすめ」

現在地付近 ★5ついた目的地
答えはそこにあると限らない
出会って迷って頼って頼られて
世界は広いと知ったなら…
どうする?

Swipe left, swipe right,
I'm being spun around
Is this a blessin'
or a curse? Let me know
さあ、もっかい聞くけど

順風満帆? 波乱万丈? どっち? Which?

効率的に 最適化されたそいつは
オレなのか オレ以外の何かか
満たして満たして満たして満たされない
読み飛ばすいつもの「おすすめ」

そいつをあてに決め込んだとしても
常に正しいなんて限らない
世界にバージョンナンバーなんてない
続くのさ!わかったら進め!

単純にいかないと知ったなら 抗え!

順風満帆? 波乱万丈? どっち? Which?

2020年代ショート文化対応型ポップの旅

視聴体験の中心がサブスクに移った結果、「いかに途中でスキップされないか」が重要な要素になってきたと感じています。そのためAメロ-Bメロ-サビといった既存の曲構成ではなく、歌から始まり、途中でテンポが変わったりなど予定調和ではなく刺激的な飽きさせない構成に。いわゆるインスト的な間奏は意図して作らずコーラスなどで埋めて常に声が聞こえるような高密度感。要所要所にブレイクや音遊び的な仕掛けも入れ、「どこで切り取られても映える」昨今のショート文化にも対応した楽曲を目指しました。その一方で現代社会に対する風刺的な視点を取り入れた歌詞というのが矛盾していて面白いところです。

セルフライナーノーツ的な

このアルバム『J-POP 時代探訪』は、1960年代から2020年代までの各年代の象徴的なJ-POPサウンドに挑んだ作品。グループサウンズからフォーク、エレクトロポップまで幅広く収録されています。当然ガラッと全く違った印象の曲が並ぶわけで、ひとりのアーティストがこれをすべてやりきって、しかも1枚の作品に収めるというのは、趣味性が強すぎるし、完全にアーティストとしての自我を自ら崩壊させているようなもの。しかし、自分でも7曲通して聴いてみてJ-POPの土壌の豊かさとタイムトラベル感を感じられたし、今作を聴いてくれるあなたも「ああ、この感じ懐かしい」などとニヤリとしてもらえたらうれしいです。

正直に述べておくと、私の音楽的引き出し、時代感の理解は、今作で言うところの90年代で止まっており、2000年代以降の3曲はほとんどいちから勉強して作ったようなものです。なのでアルバム前半は「このジャンルを再現してやるぞ」という意気込みで作ってるけれど、後半は「これってどうなってるの?」と試行錯誤しながら作ったという差異があります。その辺気にかけて聴いてもらうとなおおもしろいかもしれません。

おもしろいといえば今作のジャケットは音楽面に劣らぬ洒落っ気に満ちています。各楽曲7曲分のジャケットがタイル状に並んでいて『J-POP 時代探訪』というタイトルが書かれている。この構成は、よくサービスエリアなんかでみかける廉価版のベストアルバムやコンピレーションアルバムのジャケットデザインを踏襲しています。しかし、現実には7曲すべてが新曲なので、それぞれに架空のジャケットをいちから作っているわけです。しかもあくまで当時、その年代に販売されたらこうなっていたであろうという、時代感のあるデザインで。例えば70年代は長髪のフォーク歌手。80年代はパーマとカラフルで派手な衣装。90年代はブルー系のモノクロ、といった具合に。ちなみに顔写真はすべて私三田村潤の画像をベースにAIに加工してもらいました。なかなかに笑えます。

そういうわけでこの『J-POP 時代探訪』はA to Zによる各時代をセレクトした架空のコンピレーションアルバムともいえるのです。

話を戻すというか締めに入ろうと思いますが、このアルバムは多種多様な音楽ジャンルに手を伸ばしているようにみえて、実は釈迦の掌の上のごとく「J-POP」というフォーマットの中に納まっている作品です。その雑多でおおらかなところがいいと思いますし、私は今後ともJ-POPへの慈しみを隠すことなく、高らかに掲げ続けるわけです。

2025年9月
三田村 潤

Produced by 三田村 潤

Vocals, Guitars and Computer Programmings 三田村 潤

Recorded and Mixed by 三田村 潤
at Room JM

Mastered by 三田村 潤
at Room JM

Art Direction and Design 三田村 潤

Sales Promotion 三田村 潤 (JOY MUSIC RECORDS)

Thanks to My Friends, Families and All the People Who Love My Music!

joy-music-records.com